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06 2月, 2019

堀内雪+堀内犀のアトリエ兼自邸「多摩川の家」

堀内雪+堀内犀/スタジオCYの東京 狛江のアトリエ兼自邸「多摩川の家」を見学してきました。
小田急小田原線 和泉多摩川駅から徒歩15分程。


敷地面積149m2、建築面積75m2、延床面積147m2。S造3階建て。
ファサードは南を向く。グレーに塗装されたレッドシダーの下見張りと、製作による紺色のスチールサッシュ。3階は漆喰で仕上げた。


家の前はすぐに多摩川で、遙か500m先の対岸まで人工物が無いロケーション。


ガレージにはご主人であり、仕事のパートナーでもある堀内犀さんの愛車、カワサキW3。奥に勝手口。
前庭にはテラスを設え、両開きの扉を通じて連続する。


エントランスからは土間のダイニング。その奥に中庭、右奥にはキッチンが見える。
ダイニングであり、接客スペースであり、趣味のスペースであり、二人の好きな物がそこかしこにディスプレーされている。


前庭のテラスから土間、中庭へと連続するため、過ごしやすい季節には開け放ち、ピロティのような空間にできる。床暖入り。
壁際に鎮座するのはビンテージのステレオレコードプレーヤー。イギリス製でステレオ録音されたレコードを再生できる初期のものだそうだ。


両開き扉を開放するとこのように。風や光をたっぷり取り込むことができる。


キッチンへは土間から下足を脱いで一段上がる。こちらにも床暖が入っている。
黒皮ままのスチールをメインの素材にした空間だ。カフェにできるよう計画されており、先のダイニングも客席として使われることになる。


造作したスチール製の棚やキッチンカウンター。トグルスイッチがアクセントだ。
飲食店の営業ができるようキッチンには仕切りも備えてある。


そしてキッチンカウンターには業務用のコーヒーサイフォンをはじめ、ミルやロースターが並び、すでにカフェの雰囲気だ。
中庭を介した光と、右手裏庭の開口からの光も入る。
右奥には和室、さらに右には来客用のトイレ。


スチールのアングル材で製作したキッチンカウンター。天板にステンレス、その上に浮くようにセットされた天板は、アメリカの住宅で梁として使われていたベイツガ材を流用した。


どこにいても二人の気配が感じられるよう2階の床や、廊下が持ち上げられ隙間が見える。ハイサイドと合わせ視線が抜け開放感たっぷりだ。


明るく広々とした来客用トイレ。紫の差し色や、遊び心が感じられるデザイン。掃除が容易になるようCATALANOの壁掛け便器を選んだ。


和室は客間としても使う。床の間は土壁の左官仕上げに、床柱はツバキ。
建具は京都の古建具屋で見つけ、それに合わせ開口を設計した。


雪見障子(雪さんを見る)。障子の上部は、光量を増やすために "ハイサイド障子" としたが、下の古建具に合わせて加工したそうだ。
左の襖には唐紙が貼られている。


2階へ。16mmの鉄板を使って殆ど振動が気にならない階段。


階段から見下ろすキッチン。もちろんこの後美味しいコーヒーを淹れていただいた。


階段を上がると正面にアトリエ兼リビング。押しても引いても開けられよう中心吊ヒンジの扉を採用。


2階からは土手の上に視線が抜け、夏には一面緑の景色を眺めることができる。
当然この景色を眺める大開口にしたいが、ここは別荘地ではなく、あくまでも日常の生活空間であることからフラットな全面開口は避け、敢えてフレームで区切ることで、外のスケール感と中のスケール感が対比できるようにした。
機能的な開きをデザインに活かしつつ、両開き、滑り出し、フィックスを選んだ。


アトリエでもあることから、このスペースは天井高も取れファクトリー感を出すためにもデッキプレート、鉄骨、エアコンは被覆しなかった。
左にキッチンがあるのは、1階のキッチンが本格的にカフェとして機能した場合、こちらを日常のキッチンとするためだ。


宙に浮くような木の箱は収納で、外壁に使ったレッドシダーを細く裂いた際の廃材を利用した。下にはキッチンが覗く。
渡り廊下の先は水回りと、右奥に3階への階段がある。


水回り。洗濯、洗面、トイレはワンルーム。北側の奥に位置するが、開口を多く設け通気と採光はたっぷり。


浴室は中庭に面する。アトリエ・リビングより2段上がっているため、ここからも多摩川が望める。
壁と床の一部に十和田石を使った。十和田石の肌触りは浴室にとても合うが、掃除などのメンテナンス性を考慮し床は足が触れる部分のみとした。


3階寝室。1日の終わりにホッと寛げる優しい空間に設えたという。壁は珪藻土で調湿に配慮。


この家はとにかく居場所が多く、しかもそれぞれの性格が異なる。
開口にはグリーンのレースカーテンと遮光ブラインド。


ルーフバルコニーには芝生が張られ、多摩川と連続するような景色が得られる。
ここからは富士山も望め、何カ所もの花火大会を見ることができるという。






堀内雪さんと、堀内犀さん
「土地探しをしているときに奇跡的に出会った場所です。この環境を活かしながら、前庭、中庭、裏庭を介して光や風が心地良く抜けながら緑を取り込むよう計画しました。1階、2階、3階と機能や用途が変わりながら、景色やカラーも変化することで、それぞれの場所で違った楽しみ方ができるようになっています。」と雪さん。

【多摩川の家】
・建築設計:堀内雪/Studio CY  
・構造設計:西薗博美構造設計事務所
・施工担当:高政工務店


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13 11月, 2017

オンデザインの新オフィス

西田司率いるオンデザインの新オフィスお披露目会に行ってきました。今年の夏、オンデザインはじめ多くのクリエーションオフィスが入居していた「宇徳ビルヨンカイ」が、組織としてビルとの契約が終了し解散。多くのオフィスが横浜の関内周辺に散り散りに移転した。


オンデザインは関内駅に400mほど寄った、築51年、泰生ビルの2階に新オフィスを構えた。


2階に上がると「ondesign」のネオンサインが出迎える。


エントランスの直ぐ左にはスタッフ全員のポートレートが並ぶ。28名の大所帯だ。


そのまま進むと、オンデザイン名物の “そこまでやるか模型” がズラリ。
数年前、オンデザインの模型展を見たときはほとんどが住宅であったが、近年は公共建築を含む大型プロジェクトも多く見られるようになった。


模型の多くは1年経つと廃棄されることから、これらは概ね1年以内に作られたことになる。
模型ラックの間にはテーブルがあり、通常はクライアントや業者との打合せをするスペースでもある。


奥へ進むと、グリーンに囲まれた大きなキッチンテーブルと、長テーブルが現れた。

足元は防水層を設え、屋外用チェアが並び、沢山のプランターと植物が吊り下がり、アウトドアをイメージしたグリーンゾーンだ。
植物は100鉢あり、コーディネートはSOLSO、右の散水が掛からないように撥水のレースカーテンを制作したのは安東陽子、屋外チェアのコーディネートはニチエス、照明のコンサルは岡安泉がそれぞれ協力した。


このグリーンゾーンを確保するために、スタッフのデスクを1人分当たり40cm削ったという。


各デスクで簡単な打合せや相談ができなくなった分、こちらの長テーブル使う。気分転換しながらの作業をするフリーアドレススペースとして。ランチ、イベントなどにも。


右のワークスペースが固定アドレスの「ON」、左のフリースアドレスのグリーンゾーンが「OFF」ということだ。




今回インテリアの主要素は植物と、この単管パイプ。これにより今後もフレキシブルにレイアウトが変えられる。それと水平使いされているの単管パイプと同サイズの丸棒はアラキ+ササキアーキテクツで開発した、その名も「モクタンカン」。


金属の単管パイプだけでは堅いイメージになるが、モクタンカンにより、木の温もりや柔らかさを加えることができる。
ヒノキの間伐材で作られているそうだ。


オフィスの一番奥は模型制作スペース+書庫。

机上にはオンデザインのしごとのメソッドが収められた書籍「オンデザインの実験」(TOTO出版/2018年2月発売)。
「プレゼンをつくる時の5ヶ条」「伝えるリサーチの5ヶ条」「地域/人の巻き込み方5ヶ条」「コンペに取り組むときの5ヶ条」など内容の一部が紹介されていた。




西田司さん。「1日の多くの時間を過ごす場として、ONとOFFを切り替えられる気持ちのいい仕事場。トライアンドエラーを繰り返しながら様々な実験ができ、新しいことが生まれてくるオフィスを目指しました。ちなみに植物に囲まれた環境は、生産性が6%上がり、クリエイティビティは15%も上がる研究結果があります!」

【オンデザインパートナーズ】
横浜市中区相生町3-60 泰生ビル2F
www.ondesign.co.jp


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20 8月, 2017

遠藤克彦建築研究所 大阪オフィス訪問×「大阪新美術館」進捗レポート

遠藤克彦建築研究所 大阪オフィスを訪問してきました。大阪市営地下鉄 四つ橋線 肥後橋駅から徒歩5分程。


1〜2階が吹き抜けの駐車場の小さな雑居ビル。3階に観葉植物が見えるのがオフィスだ。


ご存じの方も多いかと思うが遠藤さんは「大阪新美術館」の設計をコンペにより2017年2月に勝ち取った。東京品川にオフィスを構えているが、この仕事のためにスタッフの殆どと共に大阪に移り住み、大阪オフィスを立ち上げた。関東の業務や、他の業務の多くもここ大阪で進行させている。


大阪新美術館計画地(Googleマップより)。中之島の一番幅が広くなる辺りで、東(左)に関西電力本店ビル、南(上)に国立国際美術館、大阪市立科学館、西(右)は空地で大学の校舎が建つ予定。

関電ビル公開空地側から。右に見えている植栽の上に途切れたブリッジがあるが、美術館を造る造らないなどと検討している頃から、いつか接続できるようにと待ち構えている。このブリッジはコンペの要項にも記されていたそうだ。

西側は不測だが、各方向に大阪の異なる風景を切り取ることができる大開口。その大開口が光のトンネル(パサージュ)のように街の新しい風景をつくり出す。光のトンネルを強調するには外壁を白か黒にしたいが、街のなかにあって埋没しないように黒を選択し、新しいアイコンのような存在を目指す。内部はパサージュ空間を中心としながら空間体験を重ねながら巡れるようにする。
外壁の素材はオフィスで見せてもらったが、様々な素材と様々な黒を検討中だ。
構造は佐藤淳、照明はシリウス、ランドスケープはスタジオテラが担当している。


もうじき基本設計を完了させるスケジュールのため検討は大詰め。最新模型の詳細は今は公開できない。


美術館業務と、通常業務、新しいコンペと「ちょっと忙しすぎるな、、、(笑)。でも徹夜はさせない。早く帰って早く出社してもらっている、はず。」とフロアを見返す遠藤さん。


各地から手伝いに来てくれるインターン含め10数人が働くが、まだまだ人手が欲しいそうなので、社員、アルバイト、インターン共に募集中だそうだ。


軽井沢で計画中の別荘。尾根に建ち三方に傾斜する敷地。


大阪から軽井沢へは東京周りになるそうだ。


遠藤克彦さん。「このところ週1〜2が東京、すっかりメインは大阪。一番気をつけているのは体調管理です。」「延床20,000m2以上ある上、美術館は通常のビルの常識が通用せず、当たり前にできるはずのことがNGだったり、設備が異常に多いなど検討事項は無限とも思えるほどありますが、きっと素晴らしい建築にしますので期待していて下さい。」
竣工は2021年、4年半後の予定。

【大阪新美術館の公募型設計競技について】


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